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納豆、たれ、からし

納豆は、植物性タンパク質を消化のよい形にした食べ物だ。人によってすききらいがあるが、わたしはたびたび食べるほうだ。ただし、スーパーマーケットにならんでいる納豆を見て、買うのをためらうことが多い。

ひとつの理由は容器だ。「わらづと」や竹の皮を使ったものは珍しく、あるとすれば高級品だ。発泡スチロールが使われていることが多い。市町村のルールにしたがって容器包装回収に出せば、なんらかのリサイクルがされるのだろうが、資源の流れとしては石油からの一方通行に近いと思う。紙ならば、森林資源を消費しているが、ごみに出せば焼却熱くらいは利用されるだろう。総合的環境インパクト評価をしたわけではないのでよくわからないのだが、なんとなく紙のほうがましのような気がしてそちらを選んだりする。

もうひとつは、商品としてならんでいるほとんどの納豆が「たれ」と「からし」のついたセットになっていることだ。「たれ」はおもに醤油とだしからなるものらしいが、中にはその材料や調合を他の商品と違う特徴にしている場合もある。しかし詳しい中身を別にすれば、おそろしく画一的だ。

たとえば、忙しい朝食を納豆とごはんだけですませたくて、調理の手間をはぶきたい人を考えれば、このセットを歓迎する人が多いだろうことはわかる。しかし、たとえばわたしの場合は、納豆にたまりしょうゆをかけた味になじんでいるので、この「たれ」は使いたくないのだ。しかし余らせるのももったいない気がして迷ってしまう。さらに、納豆をそばやスパゲッティに入れる食材として使いたい人にとっては、「たれ」や「からし」は無用であり、それをやめてそのぶん安くしてもらったほうがうれしいにちがいない。

納豆、たれ、からしを一人前ずつパックする作業の自動化はおそらく画期的なもので、それを導入できた会社が成功し、導入できなかった会社は市場から退場してしまったのかもしれない。それにしても、それには偶然的なりゆきが含まれており、必ずしも三点セットを市場が支持しているということではないと思う。

納豆の生産者・加工者に、ふたたび納豆を単品で売ることを考えてくださるようお願いしたい。