2002年9月11日にはニューヨーク郊外の大学キャンパスにいた。前の年のパリの会議とメンバーの一部が重なる、ひとまわり小さい会議だった。主催者が、アメリカは元気だということを示すためにわざとニューヨークで開いたのだった。
ニューヨークの町は通過しただけに近いので評価はできないが、地下鉄のWorld Trade Center駅が閉鎖されていた以外は平常に見えた。
9月11日の昼は、大学としての追悼集会があるということで、会議の昼休みが長めになった。わたしは追悼集会に行くかどうか迷った末に、昼休み中の会議の会場にとどまった。テロに賛同するつもりはもちろんないのだが、事件は大量消費社会のおごりへのむくいのようにも思われた。しかし追悼集会ではそういう発言は許されないだろうと思った。それで沈黙することにしたのだった。
