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日本の夏時間導入に反対する (2)

【まだ書きかえます。どこをいつ書きかえたかを必ずしも明示しません。】

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いわゆる「夏時間」(国じゅうでいっせいに時刻をずらすこと)について、[2018-07-28「日本の夏時間導入に反対する」]という記事を書いた。

そのあと、8月6日ごろから、いくつかのニュースがあった。わたしは報道をくわしく追いかけていないが、次のように理解している。

  • 2020年東京オリンピック組織委員会の森 喜朗 会長が、安倍総理大臣に対して、2019年と2020年の夏に、人びとの活動を(1時間ではなく) 2時間 早めるような夏時間を採用することを提案した。
  • これが「安倍内閣が夏時間を採用の方向で検討にはいった」というふうに報道されたが、それは、森さんがそう言ったというだけのことだったらしい。菅[すが]官房長官が「政府としては考えていない」と述べた。これは内閣のたちばを代表しての発言なのだろう。
  • 「内閣が動かなくても議員立法でやろうとしている」という報道もあって、「だれが」かなのかはよくわからなかったが、森さんに近い主張をもつ自民党議員が、ということなのだろう。
  • それから安倍さんが「自民党に検討してもらう」と述べた。

安倍さんが、森さんのように積極的で議員立法をやらせようとしているか、菅さんのように否定的で自民党に森さんを説得する材料をつくらせようとしているのか、まだ判断できなくて検討結果を待って判断しようとしているのかについては、報道が錯綜していてよくわからない。(報道記事を書く人それぞれの、夏時間に肯定的か否定的か、また現政権の政策全般に対して肯定的か否定的かを反映しているのだと思う。)

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政府の「地球温暖化対策推進本部」のもとにつくられた「地球環境と夏時間を考える国民会議」が1999年に出した報告書のことが話題になった。その報告書の所在について[2018-08-08の記事]に、それを大まかに読んで考えたことを[2018-08-09の記事] に書いた。

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ネット上にはいろいろな議論があったが、わたしの印象に残ったのは、(それぞれの年の) 夏時間期間のはじまりでのギャップとおわりでの重複をどうあつかうかについて、法律的な決定にも時間がかかるし、情報処理システムは根本的につくりなおす必要があるかもしれないので、1年はもちろん2年でもまにあわない、という話だった。

情報処理システムに関する議論の例として、上原 哲太郎 さんのプレゼンテーションファイル「2020年にあわせたサマータイム実施は不可能である」(2018-08-10)がある。https://www.slideshare.net/tetsutalow/ss-109290879

また、法律関連の問題を情報処理の専門家が論じた例として、安岡孝一さんの記事「日本の法令における「一日」と「二十四時間」」(2018-08-08) がある。https://srad.jp/~yasuoka/journal/623028/

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自民党での検討がどのように進んでいるかわからないが、ともかくそこに意見を言うべきだと思ったので、自民党のウェブサイトの「ご意見・ご質問」のページ https://www.jimin.jp/voice/ のフォームに意見を書いて送った。

専門性を主張できる主題にしぼって書くべきかとも思ったが、しぼりきれず、3つの論点を並列に書いてしまった。「まずい政策」だとは書いたが、それよりも強い不快感の表現はさけた。

夏の朝の涼しさを利用できるのはよいでしょうが、つとめ人の勤務が終わって標準時の午後4時または3時という暑い時間帯に帰りの通勤になります。職場に残れというのならば不当な労働強化になります。保育や要介護者のデイサービスの帰りもこの時間帯になるでしょう。乗りものに冷房がきいているとしても、外気との温度差はストレスになります。現状の時間割りを変えないほうがましです。

世界と協調してする仕事もあります。気象業務もその一例です。世界時の0時基準で12時間、6時間、3時間間隔で観測や予測計算をします。単純に1時間や2時間ずらすわけにいきません。気象庁からテレビの天気予報などに至る仕事の流れを大幅に組みかえる必要があります。平常業務と並行して組みかえの作業で労働は過酷になりおそらく質がさがります。

仮に夏時間が有益だとしても、各年の夏時間開始・終了の日の時間の空白・重複をどう処理するか、法制度に限っても、検討、立案、制定、周知、予行に1年ではすまず2年以上かかるでしょう。オンラインシステムの改修はただでさえ人材不足です。一度の行事のためにやるのも、行事にかこつけて長期継続をもくろむのも、まずい政策です。少なくとも5年以上の展望をもってください。