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地方議員候補者の演説会の感想

【まだ書きかえます。どこをいつ書きかえたかを必ずしも明示しません。】

【この記事は個人的覚え書きであり、知識を提供することも、意見を言うことも、直接には意図していない。】

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2017年6月30日、地方議員候補者の「個人演説会」に行ってみた。

自治体がどこか、候補者がだれか、わかる人が読めばわかってしまうけれども、ひとまず名まえを出さずに書いてみることにする。】

ふんいきは、どちらかというと選挙運動の集会だった。発言した人たちは、聞き手はこの候補者を勝たせたいと思っていると想定して「残された期間にひとりでも多くの人に投票を呼びかけてほしい」と呼びかけていた。わたしは、この候補者に投票することはだいたい決めていたものの、選挙運動に参加するつもりはなく、支持するというのならば政策を見きわめておかなければいけないと思って出席したので、場ちがいなところに来てしまったような気がした。もっとも、出席したが発言しなかった人のうちにはわたしと同様な態度の人もいただろうと思う。

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候補者の基本的態度は、選挙区内をまわって、住民が重視している課題をとりあげる、というものだそうだ。

演説でとりあげられた主要課題は、子育てと介護だった。各家庭まかせでは働きたい人が働けないなどの困ったことが起きるので、政策による支援がもっと必要だ、という主張だった。税金の使い道として、子育てと介護の支援をふやす代わりに、減らすところとして「はこもの行政」「はでなオリンピック」などをあげていた。「はこもの行政」には老人ホームをつくるなどは含まないらしい。オリンピックをやめるべきだというわけではなく、誘致をはじめた当初いわれた「コンパクトなオリンピック」にするべきだという主張らしい。

演説会が開かれた地域にとって切実な問題として、道路計画の件があった。50年ほど前からあった幹線道路計画に地元の人たちからの反対があり、大深度地下につくるという計画変更で合意されたはずだった。しかし、都市計画は、地下にくわえて地上にも広い道路をつくるものになってしまっている。候補者は、地元の多くの人の意見が "地上の広い道路は不要だし、まちが分断されてしまうのでよくない" というものだととらえて、議会によって地上の部分の計画を廃止したい、と言っていた。

道路の件はこの地域ローカルだけの問題だけではないという話もあった。都市計画がつくられた50年前とは、人口そのほか社会の事情がいろいろ変わっている。今の時点で、将来を考えて、計画された道路などそれぞれの必要性をみなおし、都市計画をつくりなおすべきだ、という主張で、少なくともそういう総論に関するかぎりわたしも主張したいことと一致していた。

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この候補者は「ぶれない」ということばを標語のように使っていた。わたしはそのことばがどのような意味で使われているか知りたかった。

演説会で聞いた限りでは、この候補者が選挙に立候補する際の態度をさしているようだった。当選の確率を高めたいならば、流行の話題になっている新党のさそいにのったほうが (無所属になって新党の支持を受ける形を含む)、有利かもしれない。しかし、この候補者は、前から活動していた党で活動を続けることを選んだ。それは、自分を支持してくれた人たちや自分が支持している人たちとの信頼関係をこわしたくないということだそうで、その広がりは党とは必ずしも一致しないと思う。

「ぶれない」には、選挙に勝つための手段として政策をゆがめない、という意味もあったと思う。そして、また、主張が長期にわたって一貫している、という意味もあったかもしれない。

たとえば、道路計画の件で、候補者は前に議員だったころから10年以上にわたって、地上の道路に反対するという主張を続けてきたことを、「ぶれない」と言っていたかもしれない(記憶が確かでないが)。しかし、わたしが思うには、この件では、都市計画を変えることを求めているのだから、主張を変えない態度を一方的によいものとすることはできないだろう。「ぶれる」を悪いこと、「変える」をよいこととするならば、その間の区別の基準をもつ必要がありそうだ。

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【ここからは、東京都の話であることをふせないことにする。】
【この節は、演説会の感想というよりもその前からわたしが考えていたことのメモだが、ついでに書きだしておく。】

この候補者は、築地市場豊洲への移転に反対する態度を明確にしている。(この日の演説会の本人の演説にはなかったのだが、応援演説には出てきたし、別のところで候補者本人のことばとして聞いたことがある。)

この候補者は、石原知事による豊洲への移転の提案が議会に出てきたとき、強く反対したのだそうだ。

石原知事の提案のときは、わたしも、積極的に発言はしなかったが、移転先として豊洲のガス工場跡地を選ぶのはまずい政策だと思った。過去の産業廃棄物からくる汚染が、ほかの場所ならばないとは言いきれないが、もっとましなところがあるだろうと思ったのだ。

ともかく、石原知事の都庁は、汚染を取り除くという条件で、関係者の合意をとりつけたはずだった。しかし、小池知事になってから、「施工が予定された盛り土とちがうものになっていた」「地下水から汚染物質が検出された」ということがわかった。合意の条件はみたされていないことになる。そこで「ぶれない」政治家が「豊洲移転計画は白紙撤回させなければいけない」と判断するのは、筋がとおっている、とは思う。

しかし、わたしは、これから市場をどうするかに関しては、別の要因も考えなくてはいけないと思う。まず、築地もじゅうぶん衛生的でないということだ。(移転予定があったから改良されなかったせいもあると思うが。) そして、築地で営業を続けながら大がかりな改修工事をすることはむずかしい。他方、豊洲の汚染は、地下水が食品や飲み水にまざることさえ防げれば、労働環境としてさしつかえのあるほどのものではなさそうだ。

そこでわたしは、移転したままにするにせよ、築地を再開発してもどってくるまで暫定的に使うにせよ、豊洲を使うべきだと思うようになった。ただし、まず、豊洲の現状の設備を市場として使ってよいかに関して、慎重な環境アセスメントをしなければならない。

ただし、わたしの意見は、たまたま得た大まかな情報にもとづくものだ。東京都政に対して主張しようとするならば、もっと勉強しなければならない。