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宇宙基本計画への意見 -- とくにGCOM-C (しきさい)後継について

内閣府から「宇宙基本計画」についてのパブリックコメント募集が出ていたことを、そのしめきりの2020年4月27日に知った。

内閣府ホーム > 宇宙政策 > 「宇宙基本計画(案)」に関する意見募集について
https://www8.cao.go.jp/space/public_comment/2020_kihon_keikaku/pubcom2020_plan.html

計画の全体を見わたすことができなかったが、ともかく、いちばん気にかかっていることを意見としてのべた。

「地球規模課題の解決への貢献」のところで、地球環境変動観測ミッション(GCOM)が消えてしまいました。当初、予算はついていなかったとはいえ、GCOM-C, Wそれぞれ3基継続することが国際公約だったはずなのですが。

GCOM-W (しずく)後継は、GOSAT (いぶき)後継と合併する計画と理解しました。合併のリスクが小さくメリットがあるならばそれでもよいでしょう。ただし、JAXAが「研究開発機構」であるために技術的新奇性を必要とするのが理由であれば、むしろ、GCOM-W、GOSAT-2それぞれ同じ規格の衛星を長期運用するのに適した組織を設立するのがよい計画だと思います。

GCOM-C (しきさい)後継の、陸・海の植物の光合成活動や大気中のエーロゾルを観測する衛星は、地球温暖化対策だけでなく、世界の大気汚染対策、生態系保全、農林水産業支援などのためにあるべきものです。GCOM-CのSGLIはおおまかにいえばMODISの同類でありながらMODISほど有名でないので、冗長と判断されたのかもしれません。しかしこれまではMODISが継続されることは自明でしたが、アメリカ合衆国が一国主義になり、ヨーロッパもイギリスとその他の国との協調が不確かになったいま、欧米にたよれるとはかぎらないでしょう。中国とインドはやるでしょうが、これまでのデータポリシーが、中国は国家機密主義、インドは判断が一定しないことが多く、われわれがデータをつかえるか不確かでした。また、データの質の面でも、たくさんの利用者からのフィードバックがあることが重要です。衛星をもつのは日本でなくても、ASNARO後継をベトナムがやることになったように、他の国にまかせる形でもよいでしょう。しかし、すくなくともデータ共有体制については日本の公共部門が積極的に働くべきです。日本の国土地理院が世界のまとめ役となった「地球地図」の経験をいかして、「しきさい」後継やMODISをふくむ地球観測衛星データと各国の現地データとをあわせてつかえる体制を国際協力で整備するべきだと思います。(DIASとは役わりがかさなる部分もありますが、DIASにその役わりを負わせるだけでは達成できないと思います。)