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地表面、地表面温度、地上気温

地面(陸面)と水面(海面湖面)のどちらにもあてはまる用語は日常には必要ないのかもしれないが、気象学では必要になる。下が固体であろうと液体であろうと、大気という気体のあるところの下の端の面をさすことばだ。日本語では「地表面」という。英語では単に surface と書いてあることが多い。

地表面の温度は、陸では「地面温度」、海では「海面水温」と表現されることが多いが、両方を合わせて「地表面温度」ということもある。実は、厚さのない面の温度を定義することはむずかしく、定義できたとしても測定するのはむずかしい。地表面温度というのは実際は地表面の下の土壌または水の温度だ。ところが、どれだけの深さの温度をさすのかは一般的に決まっていない。海面が射出する赤外線を観測することによってわかるのは(直接的には)海面からせいぜい数mmの薄い層の水温で、これを表皮温度(英語でskin temperature)と言うことがある。しかし船で測る海面水温は近ごろはふつう船の冷却水取り入れ口で測るので深さ数メートルの水温だ。大ざっぱな議論をするときは区別しないが、精密な議論をするときは観測方法を確認して使う必要がある。

地表面の大気側の温度は「地上気温」という。原則として、地表面から高さ 2 m のところの気温だ。(ただし海上では原則どおりのことは少ない。)

英語では、地表面温度を surface temperature、地上気温を surface air temperatureという。いつもそうだとよいのだが、地上気温が surface temperature と書かれることもあるので注意が必要だ。書き手が、上空の気温と区別する必要を意識したが、地面温度や海面水温とまぎれることは想像もしなかったのだろう。