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NHKテレビ 「2030 未来への分岐点 第2回 飽食の悪夢...」 (1) 内容のわたしなりの整理

【まだ書きかえます。どこをいつ書きかえたか、かならずしも しめしません。】

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NHKのドキュメンタリー 「2030 未来への分岐点」の第1回「暴走する温暖化...」については、2021-01-09の記事 [(1) 大雨・洪水シミュレーション][(2) 分岐点がなくても脱化石燃料政策を]でふれた。

第2回「飽食の悪夢 -- 水・食料クライシス」( https://www.nhk.jp/p/special/ts/2NY2QQLPM3/episode/te/P569N4NY6G/ )が、2月7日(日) 21:15-22:15 に放送された。再放送は2月11日(木)午前10:55からあるそうだ。

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主題は食料問題だ。専門家としては、国連食料計画 (WFP)の人、World Resources Institute (WRI、世界資源研究所) の人などが、国谷 裕子 さんによるビデオインタビューに答えていた。

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この記事では、番組で言っていたことのうち、わたしがもっともだと思ったことについて、わたしのことばでのべてみる。あきらかにわたしの考えであるところは【...】の形にしたが、そうでない地の文にもわたしの考えがまじっているので、かならずしも番組の言っていることを忠実につたえていないことに注意してほしい。

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現在、世界平均では、人間の食料はなんとかたりている。しかし、飢餓状態にある人がいる。(最近6年、ふえているという。)

そういう事態が生じる原因のひとつは貧富の差による食料を買える能力の差だ。

それにくわえて、ゆたかな国々での食料のむだづかいがある。とくに日本では、コンビニなどで新鮮な食べ物が常に提供されているが、賞味期限切れのものが捨てられていく。その対策として、捨てられる食料を求める人のところに届ける、アメリカの若者のネットワーク活動が紹介されていた。【それもいくらかの助けにはなるだろうが、むしろだいじなのは、新鮮さの要求を (衛生をそこなわずに) いくらか減らすことだろう。また、廃棄をへらすことにこだわりすぎると、災害などへのそなえが弱まる。むしろ、世界の人口に必要な量よりもいくらか余裕をもった食料生産をめざすべきなのだろう。】

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2050年までに、食料需給は悪化するおそれがある。

ひとつは、世界の人口が100億人までふえると予想されるので、需要がふえることだ。(ただし、人口あたりの需要をへらせる可能性はある。すでにのべた むだを減らす件と、あとでのべる 肉食から植物食への転換だ。)

もうひとつは、大きくまとめれば、水不足や土地の劣化によって、農業生産力が減ることだ。

食料需給が全体として悪化したうえで、世界の複数の食料生産国で同時に不作があると、食料のねだんがあがるし、生産国が輸出規制をするだろうから、食料を輸入にたよる国では、たとえおかねがあっても食料不足になる可能性がある。その状況では経済的富もへるだろう。(番組では、このような状況になったときの日本が、「分岐点」から悪いほうに行ったシナリオの例としてしめされていた。)

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世界の人間社会の水利用のうちいちばん大きなわりあいをしめるのは農業用水だ。その場にふった雨をつかう天水農業を勘定にいれず、灌漑用水だけをかぞえて、そうなのだ。だから、水資源問題の大きな部分は、食料生産の問題とかさなっている。【水問題には、衛生的な飲み水の不足もあるが、別の問題と考えたほうがよい。】

まず、世界の農業のうちには、地下水を、自然に補給されるよりもずっと速く使っているところがある。アメリカ合衆国西部の穀物生産地帯がそうだ。これは持続可能でない。すでに残り少ないところもある。そういうところでは、農業をやめるか、水を節約する農業にきりかえる必要がある。

また、かぎられた水資源を、輸出商品(たとえばワイン)をつくる農業者がとってしまい、地域の食料自給がむずかしくなっているところもある。この状況をかえるにはその国の政策が重要だが、製品輸入国の人も考えに入れるべきだろう。

ここまでは気候変化がなくても起こる問題だが、さらに、温暖化がすすむと、大陸の内陸部のあちこちで、降水はふえないが蒸発がふえるので、利用可能な水が減ると予想されている。これは、一方では、温暖化を小さくくいとめたい動機になる。他方で、いくらかの温暖化はさけられないから、乾湿の変化に適応する必要がある。

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水問題とならんだ問題として、農地の開拓・耕運によって、土壌が失われやすくなっている。この問題は、大規模な機械化された農業で大きい。対策として、番組では、ガーナを例として、不耕起栽培をあげていた。不耕起栽培が適切かどうかは世界の地域によってちがうと思うが、いずれにしても、土壌保全を重視した農耕にかえていく必要があるだろう。

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(需要の側の問題のうち、保留しておいた件。)
肉食は、植物食にくらべて、たくさんの土地や水をつかう。【食物連鎖の段階が多いので光合成で獲得されたエネルギーの中間損失が多いのだ。】 欧米や日本で、食事の内容を肉から植物由来の食材に変えていけば、世界の農業用の土地や水の需要をへらすことができ、世界の食料需給の困難をへらせると期待できる。嗜好や文化伝統のせいで、食品の種類を変えるのはむずかしいところもあるだろう。そこを技術で対応するこころみとして「人工肉」がある。環境負荷、食べる人の健康、味、値段という複数の目標をどうくみあわせるかがむずかしく、まだどうなるかわからないが、もし害がすくなく安いものができれば、「肉は特別なときの食べもので、ふだんは大豆製品あるいは人工肉」というふうにかわっていくのがよいのだろうと思う。