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新型コロナウイルス患者の東京・埼玉・千葉・神奈川の市区町村別分布を見る (12) (8月14日まで)

【まだ書きかえます。どこをいつ書きかえたか、かならずしも明示しません。】

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東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県がそれぞれ発表した、市区町村別 (神奈川県は保健所管轄区域別) の新型コロナウイルス陽性患者数 (累積人数) を、市区町村別の地図の形で表示してみている。

その後、はじめは1週間ごと、ちかごろは2週間または3週間ごとに更新している。

  • [(11) 2020-08-02の記事] では7月31日までの人数をしめした。(2)から(10)までの記事の所在は (11)の中に書いた。

ここでは、(11)の2週間後の8月14日までの人数で作図しなおしてみた。

患者数のデータ源は(1)..(11)の記事と同様である。ただし、

  • 東京都は「第679報」(8月15日)の「別紙」 2020081501.pdf。
  • 埼玉県は「埼玉県内の新型コロナウイルス感染症の発生状況 (2020/08/14 18:00)」 jokyo20200814.csv 。
  • 千葉県は千葉日報のサイトから8月14日23時にダウンロードした covid_200814.jpg (内容は14日20時現在)。
  • 神奈川県は8月14日23時にダウンロードした patient.csv、内容の最後の日付は2020-08-14。

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市区町村別の陽性患者数(人口あたりではない)を記号(赤いまる)の数であらわす。(2)の記事の2番めの図、(3)..(11)の記事の最初の図と同様のものである。記号は市区町村の代表位置(市役所など)の付近にしめされる。神奈川県の保健所管轄区域ごとの人数は、保健所のある市の代表位置にまとめてある。患者数が10未満のところは表示されていない。(東京都23区は全体として人数が多いということしかわからなくなった。)
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陽性患者数を人口(2020年3月1日現在の各都道府県推計値)でわったものの分布。(1) から毎回しめしている表現方法である。神奈川県は保健所管轄区域内の市町村を同じ色でぬっている。
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全体に人数がふえているが、4月から濃淡と人数の対応を変えていないので、いちばん濃い赤でぬられる領域がふえてしまった。分布の特徴は(3)..(11)からあまりかわっていない。

千葉県東庄町(566人)は実人数75人、埼玉県東秩父村(77.1人)は実人数2人、で、人口が少ないので人口あたりの値が大きくなったが、地理的分布にとっては例外とみられる。

東京都23区はいずれも70人以上となっているが、120人以上のところをあげると、新宿区(651.7人)、港区(319.3人)、渋谷区(273.0人)、中野区(225.9人)、目黒区(188.7人)、中央区(188.7人)、豊島区(180.6人)、台東区(178.6人)、千代田区(169.5人)、品川区(158.6人)、世田谷区(154.3人)、文京区(133.5人)がある。

東京都23区以外で60人以上のところをあげると、東京都多摩地域では西東京市(76.6人)、狛江市(71.6人)、三鷹市(66.5人)、府中市(66.1人)、小金井市(64.4人)、埼玉県では所沢市(76.5人)、白岡市(65.4人)、毛呂山町(64.5人)、千葉県では浦安市(74.0人)、佐倉市(68.6人)、酒々井町(63.6人)である。(埼玉県・千葉県それぞれの中で相対的に多い市町村には、2週間まえから、入れかわりがある。)

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人口あたりの陽性患者数と 人口密度との関連について、[2020-08-06の記事][2020-08-09の記事]でいくらか論じた。

人口密度(2020年3月の各都道府県推計の人口による)の図は2020-08-06の記事にあるので、そちらを見ていただきたい。

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市区町村の面積あたりの陽性患者数を分布を見る。人口密度と同様に表現すれば「陽性患者数密度」といえるかもしれない。2020-08-06の記事では7月31日までの患者数による値を示したが、今回は8月14日までの患者数によるものである。
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わたしが読みとれた分布の特徴は、2020-08-06の記事にのせたものとかわっていない。値は、(千葉県東庄町などを例外として) 東京の都心部で大きく、東京から離れるほど小さくなっている。

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人口あたりの陽性患者数を、人口密度でわったものの分布を見る。これも2020-08-06の記事にのせたものを、8月14日までの患者数で更新したものである。
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図の左端近くや房総半島などの人口密度の小さいところでは、分母の値が小さいので、この数値は、大小両方にばらつく。そのあたりは、この色づけでは めだってしまうが、この図からは情報をよみとるべきではないところである。(とくに神奈川県は、保健所管轄区域ごとの陽性患者数と市町村ごとの人口密度から計算しているので、大きな値が出やすいことが予期されている。)

2020-08-06の記事でのべたように、東京の中心部の新宿区には大きな値があるが、そのほかの東京近郊の大部分が、うす緑の 300~1000 [km2 / 百億人] か、濃い緑の 1000~3000 の区間にふくまれている。人口あたりの陽性患者数は人口密度と正の相関があって、わりざんするとうちけしあうのだ。

しかし、2週間まえの図と、印象はだいぶちがう。今回の図のほうが、濃い緑のところがふえている。埼玉県北部の うす緑と濃い緑がいりまじっていたところが連続して濃い緑になった。東京都多摩西部の青梅市・八王子市、その南の神奈川県 相模原市 (ここは保健所管轄区域と市が一致する)や、千葉県の市原市・館山市などが、うす緑から濃い緑にかわっている。2月または3月から累積の陽性患者数なので、数値がふえるのは当然である。その結果、色をかえる値にえらんだ 1000 [km2 / 百億人] をこえたところが、たまたま多かったようだ。

ただし、その結果、今回の図には、東京の新宿区のまわりをのぞいて、東京に近いところに うす緑、東京から遠いところに濃い緑がまとまってあらわれるパタンが生じてしまった。

人口あたりの陽性患者数の人口密度へのよりかたは、人口密度に比例するよりは弱いのだ。2020-08-09の記事の散布図で、点の分布におおまかに直線をあてはめて考えると、直線のかたむきは、東京都23区では、1よりも大きいけれども、東京都多摩地域、埼玉県、千葉県では、1よりも小さく、おおまかに 1/2 ぐらいと考えられる。

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そこで、人口あたり陽性患者数(人/十万人)を、人口密度(人/km2)の平方根でわったものの分布をみる。(数量としてはわけがわからないものになるが、人口密度という要因の効果をうちけしてみるための試行錯誤のひとつである。)
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こうやってみると、(周辺部の人口密度の小さいところで数値があばれるのは統計の性質からしかたないとして)、東京都新宿区(図では黄色、数値は4.7)をのぞく大部分の市町村が、表示された数値で 0.3 ~ 3 のあいだにおさまっており、さらにそのうち多くが、0.3 ~ 1 のあいだにおさまっている。人口密度への比例よりよわい依存性と、東京の中心部の特殊性のほかは、とくに明確な地理的特徴はないように思われる。

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第1回から作図に使ってきた GIS (地理情報システム) ソフトウェア「MANDARA 10」について、これまで説明していなかったが、ソフトウェア作者の谷さん自身による入門書の読書メモという形で別ブログに記事を書いたので、関心のあるかたはごらんいただきたい。

  • 谷 謙二, 2018: (フリーGISソフト) MANDARA 10 入門 — かんたん! オリジナル地図を作ろう。古今書院, 122 pp. ISBN 978-4-7722-8118-8. [読書メモ]