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「地球環境と夏時間を考える国民会議」報告書(1999年)について

【まだ書きかえます。どこをいつ書きかえたかを必ずしも明示しません。】

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「夏時間(サマータイム)」つまり夏のあいだ国じゅうの時刻をずらすという政策に関する議論がおきている。

これに関連して、「地球環境と夏時間を考える国民会議」が1999年に出した報告書が話題になった。それを話題にした人は、他の出版物への引用で知ったので、もとの報告書にたどりつくことができないとのことだった。

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文字列で検索してみると、その「会議」が使っていたインターネットのドメイン名は kokuminkaigi.gr.jp であることがわかった。

Internet Archive web.archive.org の中を検索してみると、「会議」のホームページ www.kokuminkaigi.gr.jp のコピーが、1999年から2002年まで複数回とられていることがわかった。一例はつぎのものだ。http://web.archive.org/web/20020929154714/http://www.kokuminkaigi.gr.jp/

そのホームページ(1999年5月14日更新とある)によれば、この会議は、1998年6月に地球温暖化対策推進本部が決定した「地球温暖化対策推進大綱」にもとづいて、政府が設置したものだ。

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そして、報告書は、このページ(仮にindexページと呼ぶ)にある。http://web.archive.org/web/20021004093744/http://www.kokuminkaigi.gr.jp:80/genan/index.html
ただし、このページや、リンク先の(全部ではないが)いくつかを見たかぎりでは、ここにあるものが、1999年に発表された報告書と同じものであるか、確認できていない。URL文字列中の「genan」は(文脈からみてゲナンではなさそうで)「原案」だと思われるが、最終版になっても URL のほうを変えなかったのだろうか?

報告書の本文は、章ごとにわかれて、indexページからリンクされたウェブページにある。本文がHTMLファイルで、その中にはさまれた図表が別の画像ファイルの形になっており、残念なことに、Internet Archiveにあるコピーでは、そのような形の画像が残っていない。たまたまHTMLの表(table)の機能を使って記録されていた表だけが救われた。

こうなってしまったのは残念なことだが、アーカイブサイトがウェブ内容を収集するしくみは機械的なものだし、応答待ち時間にもかぎりがあるので、やむをえないだろう。1999年当時、報告書をPDF形式にしなかったのは当然だろう。(そのころPDFは特定の会社のファイル形式にすぎず、フリーのブラウザは作られはじめていたが機能が不完全だった、と記憶している。)

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また、kokuminkaigi.gr.jp というドメイン名は、2010年から2015年までは、上に述べたものとはまったく無関係の内容 (おそらく実態は営利企業の宣伝) に使われていた。Internet Archiveの検索では最新のものが優先されるので最初にこれが見えておどろいた。

近ごろ、インターネットと政治・行政とのかかわりに関する有識者(ここではわたしがこの用語にふさわしいと思う人という意味)の多くが、日本の政府機関が発信する情報は go.jp で終わるドメイン名のサイトに置くべきだと主張している。

現実には、国の事業で、ドメイン名として、その事業のキーワードを含むけれども役所の名ではないものをつけることが多い。そのような事業が終わると、ウェブサイトの維持についての予算も役所の関心もなくなって、ドメイン名の契約が切れ、サイトは消滅する。国の事業でつくられた情報に国民[注]がアクセスできなくなるのもまずいことだが、そのうえ、「go.jp」でないと、ドメイン名を他の人が利用することが可能になるので、(過去の)政府事業の信用を他の人が悪用するおそれや、(過去の)政府事業の内容についての誤解をまねくおそれがある。

  • [注] これは本来は国籍とは関係ない人権の問題なので「人民」と書くべきだったかもしれない。ここでは日本国の主権者を持ち出したほうがよいという判断で「国民」と書いた。

kokuminkaigi.gr.jp があったのは、そういう議論がさかんになるまえだ。また、政府がつくったものではあるが、その主張は政府の主張ではないというすじのものだったから、会議のウェブサイトを政府機関のウェブサイトに置くことを避けたかったのかもしれない。

しかし、政府の側にも報告を受けたという事実はあるのだから、すくなくとも報告書は、政府としてウェブサイトに置くべきだと思う。親組織である地球温暖化対策推進本部は今もあるのだから、そのサイトhttps://www.kantei.go.jp/jp/singi/ondanka/ か、そこからリンクされたところに置くのが適切だと思う。もし政府がその気になってくれないのならば、公共的情報として他の人びとが公開することも許されるべきだと思う。

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「政府として報告を受けた」という趣旨の記事(1999年5月13日づけ)は、環境省のサイトには残っている。http://www.env.go.jp/press/2231.html (この件は Tomoaki Masuda (@moonmile)さんのtweetのおかげで知った。) その記事ページから「会議」のサイトがリンクされていたようだが、いまはリンクがなくなっている。

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報告書の内容を読んでわたしが思ったことは、別の記事にしようと思う (ただしいつになるか未定)。