macroscope

( はてなダイアリーから移動しました)

本の復刊(再版)リクエストで困ったこと

【まだ書きかえます。どこをいつ書きかえたかを必ずしも明示しません。】

- 1 -
わたしは本をたくさん読みたいし、人にも勧めたい。前に出版されていた本が品切れや絶版になって売られなくなってしまったのは残念なことだ。本といえばディジタル本という時代になれば事情は変わると思うが、今はまだまだ紙の本が重要だ。紙の本としての再版や復刊はうれしいことだ。

複数の出版社が連合して、品切れになっている本の再版・復刊をすすめる事業のひとつに、「書物復権」というのがある。毎年1回で、今年(2017年)は第21回だそうだ。10の出版社が参加していて、「リクエスト」をhttps://www.kinokuniya.co.jp/c/fukken2017/ で2月28日まで受けつけている。

わたしは、「書物復権」が始まって数年間は、もし復刊されたら必ず買おうと決意したものだけ、復刊希望を出していた。今は、(自分はすでに持っていても) おおぜいの人の目にふれてほしいと思うものや、実物が店に出たら見て読む気になったら買うかもしれないもの、まで含めている。

- 2 -
わたしは2017年の「書物復権」の「リクエスト」に、1月25日に書きこんだ。しかし、技術的エラーになってしまった。次のようなものだ。

Request-URI Too Long

The requested URL's length exceeds the capacity limit for this server.
Apache Server at bookweb.kinokuniya.co.jp Port 443

わたしの書きこんだ情報は、「https://bookweb.kinokuniya.co.jp/camp/mails_f.cgi?」で始まるURI (uniform resource locator)の文字列としてウェブサーバーに渡された。その文字列の長さが、そのサーバーが扱うURIとしては長すぎるというのだ。

リクエストを出しなおしたいのだが、そのときには前回よりも送信される文字数を減らさないと受けつけてもらえそうもない。そこで、リクエストの枠の内に書きこんだ意見などを、ブログ記事に書いて、リクエストへの書きこみからブログ記事のURIを参照する形で述べることにした。ブログ記事ならば枠の大きさに限定されないので、枠の内に書いたときよりは少し詳しく述べることにする。

- 3 -
わたしの書きこみの長さは、ウェブフォームによる情報提供としては、長すぎるものではないと思う。140冊のリストのうちの41冊に選択のチェックを入れた。リスト外の復刊希望として1冊をあげた(この部分のフォームは1冊を想定しているようだ)。それから意見を300字ほど書いた(この部分のフォームの埋まりかたは半分くらいだったので、この倍くらいの文字数を書くことも、送信されるかどうかはともかく書くだけならばできたはずだ)。これぐらいで長すぎて受けつけられないと判断されるのは困る。

- 4 -
このくらいの書きこみが「長すぎる」というエラーにならないようにするための、技術的対策としては、わたしは次のように考える。

まず、書きこみをURL文字列という形で送る方法はうまくない。別の方法をとるべきだ。

それから、リストからどの本を選択するかの情報は、現状ではリスト内の番号のあとに書名の日本語文字列もつけて送っているようだが、集計のためのデータとしては番号だけでじゅうぶんなはずだ。番号が化けないためにチェック用コードをつけたほうがよいかもしれないが、書名全体を入れる必要はない。

また、書名も、意見も、日本語文字列を、1バイトごとに16進数表記してその前に「%」をつけて3バイトの場所をとっている。日本語文字はおそらくEUCコードで扱われていて1文字2バイトと思われるので、1文字が6バイトの場所をとっている。URIとして使える文字の種類が限られているのでこのようなやりかたをとったのかもしれないが、送る方法をくふうすれば、制御文字などと区別するための余裕を見ても、日本語1文字を3バイトくらいで送れるだろうと思う。

- 5 -
そのほか、この「リクエスト」受けつけのためのウェブサイトの構成には、次のような問題があると感じた。(これはエラーになって送れなかった意見でも指摘していた。)

まず、このサイトに接続すると見えるのは「プライバシーポリシー」(個人情報保護関係の約束)が書かれたページであり、それに対して「同意する」というボタンを押すと、はじめて、(リクエストのためのチェック欄つきの)候補リストが見える。これは、リクエストを送信する人に対してあらかじめ了解しておいてほしいことを伝えて確認をとるしくみとしてはよくわかる。しかし、リクエストを送るという意志はかたまっていないがリストを見たい人も多いはずだ。そういう潜在的利用者に対して、復刊候補リストを隠す理由はなく、積極的に見せたほうがよいはずだ。したがって、チェック欄つきのページのほかに、復刊候補の本を一覧表で見せるだけの単純なウェブページをつくって、公開の場所に置き、検索エンジンからも見つけられるようにしたほうがよいと思う。(著者名や書名で一般的なウェブ検索をしている人に、その本が復刊候補になっているならば、そのことが知られてほしいと思うので。)

それから、チェック欄つきのリストのページを、ウェブブラウザの「ページを保存」の機能で保存することはできるのだが、チェック後に保存しても自分がどの本をチェックしたのかの記録は手もとに残らない。また、リクエスト発信の直前にこれでよいか確認をとってくる画面が出るのだが、これをパソコン(わたしの場合はWindows 7)の機能を使って文字列コピーして別のファイルを開いて貼りつけようとしても、文字列コピーが働かない。自分が送った内容の記録が残らないのはとても不便だ。この点でも、リクエスト受けつけウェブサイトのユーザーインタフェースの改良を期待したい。

- 5 -
復刊候補リストの内わけについても、例年継続した不満がある。

リストは、「哲学・思想・言語・宗教」「社会」「歴史・民俗」「心理・教育」「文学・芸術」「法律・経済・政治」「自然科学・医学」と分類されている。 わたしのおもな関心は、このうち自然科学の本に向いている。

復刊候補リストには、歴史、哲学、経済学、政治学、芸術などの分野の、大学専門レベル(大学の入門レベルの学習をすませた人向け、ただしそのすべてが読むわけではない)の本が多く含まれていると思う。しかし、理学、工学、農学などのそのレベルの本はほとんどない。「自然科学」に分類された本は、科学史などの、自然科学を題材とした人文・社会科学的研究の成果を述べた書か、しろうと向けの読みものが多い。

わたしは、理科系の大学レベルの本にも、再版・復刊の需要はあると思う。ただし、出版社にとって、その需要の見積もりはむずかしいだろうとも思う。学問の専門家が重視する学説や方法論が変わると、代表的教科書が入れかわることがあるだろう。また、同じ本の新版が出ると、旧版は余っていても売れなくなったり、流通から消えてしまったりするだろう。需要が継続するかとぎれるか、書誌情報や過去の売れ行きでは見当がつきにくい。そして、「書物復権」の対象は大量に出る教科書でなくやや専門的な本なので、さらに判断がむずかしいだろう。

対策として考えられるのは、大学生協や学内支店をもつ小売店などから、専門分野ごとに、読者・推薦者の判断をさぐることだろうと思う。おそらく「書物復権」にかかわる出版社は、人文・社会科学についてはそのような情報網を持っているにちがいない。自然科学の分野についても同様に考えてほしいと思うのだ。