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科学研究関係の独立行政法人の再編成方針(閣議決定)について

1月20日閣議独立行政法人の制度および組織の見直しの基本方針が決定された。20日夕方に見たところでは、内閣のウェブサイトには議事の題目があるだけで内容はなかったが、内閣府のウェブサイトの「行政刷新」の下の「独立行政法人改革」http://www.cao.go.jp/gyouseisasshin/contents/03/dokuhou.html を見ると、「『独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針』について閣議決定しました。」とあって、次のPDFファイルがある。http://www.cao.go.jp/gyouseisasshin/contents/03/pdf/120120_khoshin.pdf

独立行政法人は次のように再分類される。

  • 1. 成果目標達成法人
    • 1. 研究開発型
    • 2. 文化振興型
    • 3. 大学連携型
    • 4. 金融業務型
    • 5. 国際業務型
    • 6. 人材育成型
    • 7. 行政事業
  • 2. 行政執行法人

組織統合の内容は1月14日の記事で参照した1月12日の報道とはいくらか変わっている。

文部科学省関係では、まず1月12日の報道で1つにまとめるとされていた旧科学技術庁系の8法人は次のようになった。いずれも分類は「成果目標達成法人」のうちの「研究開発型」とされている。

旧文部省関係で大学と関係の深い4法人のほうは次のようになっている。

  • 日本学術振興会(学振)は単独で「成果目標達成法人」のうちの「大学連携型」とされている。これも資金配分機関の見なおしを待つところがある。
  • 大学入試センター大学評価・学位授与機構は統合して「大学連携型」の「成果目標達成法人」とし(仮に法人Xと呼ぶ)、国立大学財務・経営センターは廃止して残る業務を法人Xに移すとしている。【なお、法人Xは収入を学位授与手数料などにより国に頼らない方向をめざすべきだとされている。この言いぐさには、わたしは、貧しい人が学位をとるのを妨害するのかという怒りを感じるとともに、実際にはここから授与される学位の件数は法人Xが採算がとれるほど多くなるはずがないと思うので、考えの浅い案だと思う。】
  • 日本学生支援機構は、法人Xへの統合の可能性を含めて夏までに結論を得るとしている。

経済産業省関係では、

おそらく、理屈としては、「成果目標達成法人」の類型に、もうひとつ、「研究資金提供型」を立てるべきなのだと思う。しかし、政府からのお金の流れの問題は独立行政法人がからむもののほかに政府から直接の補助金もあり、それを含めた行政の原則が先決なのだろう。ただしそれがそう短期間に決まるとは思えない。それまで、研究資金提供の体制は、(法人も今のままか、形式的に合併するかはどちらもありうるが) 実態はほぼ現状維持か、(一部の)業務を停止させるか、しかないだろうと思う。決定がとどこおると、社会にとって必要性のある研究の開始が遅れ、それに適した能力のある人が職につけない。しかし研究事業が始まってから朝令暮改されれば、研究が止まったり、せっかく職についた人が失業したりする。