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水を(あまり)使わないトイレ

たしか4月1日の朝だったと思う。NHKニュースの話題を聞いていてはっとした。津波の被災地では、トイレの衛生を保つのがたいへんで、とくに注意しないと感染症が広まってしまうおそれがあるということだった。上水道が止まっていたり、下水道がこわれていて汚水を流し出せないと、水洗トイレは役にたたない。さらに、くみ取りも、バキュームカーが不足していてなかなか進まないということだ。

日本には農業・工業用水の不足はあっても、生存に必要な基本的な水の不足は外国の問題だと思っていた。日本でも、いったん整備されたインフラストラクチャーがこわれると、困るのだ。

そこで役にたちそうなのが、北海道大学サニテーション工学研究室 http://www.eng.hokudai.ac.jp/labo/UBNWTRSE/index.htm (船水教授ほか)による「被災地でも作れる簡易トイレマニュアル」(第1版3月18日、同補足3月24日)だ。

この研究室の仕事について、わたしは前にJST (科学技術振興機構)のCREST事業「水の循環系モデリングと利用システム」(2001-2008年度) http://www.jst.go.jp/kisoken/crest/ryoikiarchive/mizujunkan/index.html の一環として話を聞いたことがあるが、今はJICA-JSTのSATREPS事業で、アフリカのブルキナファソへの協力を含めて進められているそうだ。

考えてみれば「集めない」,「混ぜない」は排水処理の基本であり、水の量に不自由しない平時の日本でも、トイレは肥料製造場でもあるという態度で設計しなおしたほうがよいのではないだろうか。