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「放射能」ということば

1960年代に子どもだったわたしにとって「ホーシャノー」は、意味はよくわかりませんでしたが、よく聞くことばでした。「放射線」や「放射性物質」は中学生ぐらいになって知ったことばでした。

近ごろわたしは、放射性物質に関する知識の大筋を説明する立場では、「放射能」という用語を使わずに、「放射性物質」(もう少し精密には「放射性同位体」または「放射性核種」)と「放射線」とを使って説明するのがよいと思ってきました。

ところが、このところ問題になっているのは、おもに放射性物質が大気によってどこにどのくらい輸送されるかだと思うのですが、その数量が、放射性同位体の質量ではなくて、国際単位では「ベクレル」(Bq)、古い単位では「キュリー」(Ci)で示されるようなもの、つまり放射性物質の壊変(放射線の放出でもある)が単位時間になん回あるかなのですね。そうするとこの量は、放射性物質の量でも放射線の量でもなく、単位時間あたりの壊変回数という量が輸送されるというのも直感的にわかりにくいので、やはり「放射能の量」と呼ぶのが適切なように思えます。