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2012-09-01から1ヶ月間の記事一覧

持続可能性を考えた産業社会の見なおし (3) 情報・通信

今の情報処理先進国では、莫大な情報が通信され処理されている。そのうちには確かに人々の生活に役立っているものもあると思う。しかしその情報処理のために電力や半導体をはじめとして多くの資源を消費している。情報量あたりで必要な資源量が少なくなるよ…

持続可能性を考えた産業社会の見なおし (2) 鉄とセメント

現代の建造物には鉄筋コンクリートを使ったものが多い。世界のうちでも日本はとくに建物が地震と火事に耐えることを建築基準にしてきたので多いのだと思うのだが、密度の高い市街地の住宅や、公共の建物で新築されるものも、また鉄道・道路の高架などの社会…

持続可能性を考えた産業社会の見なおし (1) 序論

近ごろ、日本の政策、とくにエネルギー政策に関する議論は、たがいにあいいれない主張の間で分裂しているように見える。実際は複雑だがあえて単純化すると、二つのグループの人々がお互いに相手の主張を「非現実的だ」と言っているようだ。もちろんその意味…

113番元素の名まえに関するいろいろな考え

理研(理化学研究所)の研究者によって113番元素が合成されたという論文が出された。113番元素の合成の報告は外国からもあるので、世界の科学者の合意として理研の仕事が113番元素の発見と認められるかどうかは確定していない。したがっていわば「とらぬタヌキ…

ニッポニウム -- まちがっていたが、まっとうな科学

113番元素が話題になっている。この件は別に書きたいと思うが、これがニッポニウムと呼ばれることはないだろう。ニッポニウムということばは科学の歴史、しかも思い出す価値のある歴史の一部となっているからだ。小川正孝(1865-1930)は1908年に43番元素を発…

「安全・安心」論に関する覚え書き (2)

8月12日の記事「『安全・安心』論に関する覚え書き」の続き。次の論文を読んだ。 神里 達博, 2004: 序論: 「安全・安心」言説の登場とその背景。 科学技術社会論研究, 3, 72-84. 英語目次での表題では、著者は「安全」をsafetyとし、「安心」をsecurityとし…

「EM (有用微生物群)」と科学教育の問題

[8月12日の記事「有用微生物は活用すべきだが、比嘉ブランドのEMは勧められない」]に続く話題。スーパーサイエンスハイスクールの事例 呼吸発電(breathingpower)さんによるtogetter「科学技術立国日本の未来を蝕むEM菌」http://togetter.com/li/377682 にま…

西進

わたしがほぼ毎日通勤で通る道ぞいに「西進」という看板がある(ということにしておく)。これは商標つまり固有名詞にちがいない。しかし、わたしは、仕事で使う用語[3月18日の記事参照]として読んでしまう。この道はほぼ東西にのびている。朝晩の一方は、わた…

エネルギー政策の選択について思うこと

国のエネルギー・環境会議が「革新的エネルギー・環境戦略(平成24年9月14日エネルギー・環境会議決定)」を出した。このページ http://www.npu.go.jp/policy/policy09/archive01.html からPDF文書へのリンクがある。ひとまず目次を紹介する。 はじめに 1.…

どういう意味の科学者の合意(コンセンサス)が望まれるのか

2012年9月15日に仙台で開かれた環境経済・政策学会のシンポジウム「気候変動に対処するための分野横断的研究を目指して: 研究分野間の対話の試み」(趣旨説明ポスターPDF http://www.managi-lab.com/seeps/poster.pdf )に参加した。シンポジウムの話題の紹介…

最終列車は午前8時台 - 2002年9月、ニューヨーク郊外

(この記事は、公共に向けての情報提供や意見表明ではなくて、個人的記録と感想です。個人ブログには性格の違う記事が混ざります。「カテゴリー」で分類することができるかもしれませんが、まだうまくできていません。)わたしは自分が「鉄道マニア」ではない…