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2012-05-01から1ヶ月間の記事一覧

不安定

気象学で使われる「不安定」(英語では形容詞unstable、名詞instability)ということばにも、広い意味、狭い意味がある。理論用語としての「不安定」気象学のうちでも力学分野の理論では「不安定」ということばがとてもよく使われる。たとえば温帯低気圧[4月9…

対流

「対流」(英語ではconvection)ということばの意味は、気象学のうちでも場合によって広かったり狭かったりする。熱伝達論でいう「対流」、気象学では「移流」と「乱流輸送」まず、熱伝達論(伝熱工学)でいう「対流」についてことわっておく。エネルギーの伝達…

労働生産性を低下させるソフトウェア更新

職場のオフィス用パソコンのソフトウェアのうちいくつかが新しいものになった。少しずつためしてみている。機能についてはいくつか不満があるもののこれまで使っていたものの不便さが解消される面もあるので、もし応答が遅くなかったら喜んで使うだろう。し…

暴走温室効果

地球大気の温室効果[5月20日の記事参照]をもたらしているのは、まず水蒸気だ。(その次に重要なのが二酸化炭素だ。)何かの理由で地上気温[3月29日の記事参照]が上がると、地球の大気の下には海があるので、地上気温が上がれば、海から水が蒸発して大気中の水…

温室効果

このことばは他分野でも使われるようになったが、議論の混乱を避けるため、他分野のかたも気象学者の使いかたに合わせていただきたいと思う。「温室効果」(英語 greenhouse effect、フランス語 l'effet de serre、ドイツ語 Treibhauseffekt)は、地球などの惑…

リスクに関する議論の二極分化を避ける

今年1月1日以来なん度か書いている話題だが、自分ながらこれまでの表現はわかりにくかった。また表現をくふうしてみる。国際単位系(SI)つまりいわゆる「メートル法」の接頭語を知っていることを前提とする。不幸なきっかけだったが、去年以来「ベクレル(Bq)…

指のもつれ: remote sending

「空耳、空目、誤変換」というカテゴリーで書こうと思っていることの中には、この3つの用語がさす以外のこともある。そのひとつは、意図しない書きまちがいだが、日本語のローマ字・かな・漢字変換機能に由来するものではなく、手の動きに由来するものだ。キ…

卒アル

3月ごろ、薄暗い時間に通りかかったまちかどの広告ポスターに「卒アル」という文字列が見えた。その建物には喫茶店があるので、「アルコールを卒業しよう」という呼びかけなのだろうと思った。明るいときに見たら、ポスターは喫茶店のものではなく隣のカメラ…

1960年代にもどることはできないが、1960年代を参考にすることは必要

昔を参考にする、というとき考えるのは、江戸時代ばかりではない。もっと新しい昔もある。今50歳代のわたしの世代の人々は、1960年代を子どもとして体験してきた。社会をその時代にもどすべきだと言うわけではない。1960年代の社会は、経済成長が進行中であ…

今年、日本政府がとるべき政策は、脱経済成長への適応の第一歩 (2)

昨日の記事の続き。電気がたりなくなる心配は、時間について積算した電力量(わたしはSI単位主義者なのでJ(ジュール)単位で示したいのだが世の中ではkWhという単位がよく使われる)の問題と、瞬間的な電力(W(ワット)単位で示される)の問題とがある。昨日の記事…

今年、日本政府がとるべき政策は、脱経済成長への適応の第一歩

日本の世論は、原子力事故のないことを望んでいる。そして、その全部ではないが大きな部分は、世界のうちで地震・津波の確率の高い日本の海岸で原子力発電所を稼動させたり使用済み核燃料を保管したりすることによることによるリスクを許せない。日本の世論…

江戸時代にもどることはできないが、江戸時代を参考にすることは必要

今の日本を含む工業先進国の生産・消費活動は持続可能でない。一方で、持続可能な資源供給の範囲で今できている消費を続けられるような技術を開発し普及させるような仕事も必要だと思う。しかし他方で、今できている消費のうちある種類のものはあきらめて別…

某機構には図書館がない

某機構には図書館がない。相互貸出しを利用しようにももよりの図書館がない。公費で買った本を紛失するなという管理はあるけれど使える状態にせよという管理がない。学術文献(雑誌論文)のディジタルデータ提供機能ではおそらく日本一なのに、内部の調査職員…